最近、「語彙力」という言葉が注目されてきていますが、語彙力って一体何でしょう?
また、どのようにしたら語彙力が増えるのかを考えてみたいと思います。
語彙力とは
「語彙力」という言葉を最近よく耳にします。日常的に使われる言葉として、定着してきているように思いますが、どういった力を指すのでしょうか。
言葉をたくさん知っているということ?
語彙力があるとは、言葉をたくさん知っているということではありません。英語で例えるなら、単語帳1900語のように何単語も書かれた本を用いて、何単語覚えたら語彙力がついた。と言えるということではありません。どれだけの単語を知識として知っているかは単に「語句」の量に過ぎません。
語彙と語句
中央教育審議会でも
小学校低学年の学力差の大きな背景に語彙の量と質の違いがあり…(中略)…学力差の拡大に大きく影響している…(後略)
とまとめられています。「語彙の量と質」と表現されていますが、これを「語句」と置き換えると十分に意味が通じるでしょうか。「語句の量と質」というとちょっとニュアンスが変わってきますよね。語句そのものの質に善し悪しはさほどありません。
おそらくこの「語彙力と覚えた語句の量は違う」という感覚は多くの人にあると思いますが、実際には意外と「語彙」と「語句」の違いは意識されないままに使用されているケースが多かったり、ほぼ同じような意味として繋げられることが多いように思います。
特に教師として子供を評価するときにいろんな言葉で表現しようとしているときや、逆に「こんな言葉も知らないのか」と感じたときに「この子は語彙力がある・ない」と評価してしまっていませんか?
しかし、実際にはたくさんの「語句」を知っていても「語彙力」はない人が多いのが現状です。また、ここで「語彙力がない子供」ではなく、「人」と表現したのは、「語彙力」は子供に限らず、大人、ひいては「教師」も語彙力が低下しているのではないでしょうか。
語彙の豊かさ
『語句』は名詞や動詞・形容詞などの「語」や、それによって構成される文などの1つ1つの固まり(一般的には比較的短い語や句のまとまり)を指します。
『語彙』も同じようにちょっとした表現に用いた言葉に対して「語彙力」などと表現することが多いように思いますが、「語句の知識量」ではなく「語彙力」と感じるときに違いがあるはずです。
語句はあくまで、単なる言葉に過ぎません。同じ事象を様々な言葉で表現できたら、それは「語句の知識が多い」と表現できるでしょう。しかし、それは「語彙が豊か」な状態とはちょっと違います。
それに対し、ある状況において適切に物事を捉え、相手にわかりやすく伝えることができる言葉を選定できることを「語彙力がある」などと表現します。
語句は単純に知識量です。語彙は状況や相手の感情、背景などのコンテキスト(文脈)を把握して適切な言葉を選択する力と言えるでしょう。
語彙力を身につけるためには身につけた語句の知識をどのように選択し、活用するか。また、その語句を受け止めた相手がどのように捉えるかというところまで想像力を働かせることが大切になります。
次回は、語彙力を身につけていくために必要な想像力について書きたいと思います。